精巣捻転(せいそうねんてん)とは
精巣が、それにつながる精索という索条物を軸に捻れて、内部の血管が締め付けられ血流が流れなくなり、そのまま放置していると精巣が壊死する病気です。思春期前後の青少年で、夜間睡眠中に発症することが多いと言われています。突然「きんたまが痛い」、「おなかが痛い」という訴えがあり、徐々に陰嚢が腫れて、吐き気や嘔吐を伴う事もあります。程度にもよりますが、発症後6~12時間以内に治療しないと精巣が壊死する可能性があるので、早期の診断や治療が必要となります。
精巣捻転はどんな痛み?症状・サインは?
いきなり陰嚢に激しく痛みが生じ、「きんたまが痛い」、場合によっては「おなかが痛い」という訴えがあり、徐々に陰嚢が腫れて腹痛や吐き気を伴う場合もあります。精巣捻転は左側の方が右側よりも起こりやすく、冬などの寒い季節、夜間から早朝の時間帯に多いのが特徴です。
精巣捻転が起こると、見た目はどうなる?
陰嚢は大きく腫れ上がります。多くの場合は、陰嚢の中で精巣が上の方に引っ張られているような状態になります。
精巣捻転の原因
精巣は精索という、精巣を栄養する血管や精管などを覆う索条の組織を介して腹腔内とつながっています。通常、精巣は陰嚢の中で一部が固定されていますが、この固定が十分でないことがあります。このような時に精巣が陰嚢の中で回転すると、それをつなぐ精索が捻れてしまいます。
精巣捻転の検査・診断
精巣捻転と同じように精巣が腫れて痛みを伴う病気として「急性精巣上体炎」、精巣や精巣上体についている2-3mmの突起物が捻れる「精巣垂捻転」があります。
主にこれらを鑑別するために検査を行ないます。
視診、触診
精巣の腫れ、硬さなどを確認します。
太ももの内側を触ると太ももと同側の精巣が無意識に持ち上がる、精巣挙筋反射という腹壁反射があります。精巣捻転ではこの精巣挙筋反射が消失しています。
超音波検査
精巣や精索に血液が流れているかどうか調べます。超音波検査で血流が確認できれば精巣捻転の可能性は低いと言えますが、痛みや腫れのために十分に確認できない場合もあります。
尿検査
精巣捻転では、通常は尿検査で異常な所見を認めません。
急性精巣上体炎は、多くは細菌感染が原因で起こる病気なので、尿検査で炎症性細胞(白血球)や細菌が確認されます。
但し、こちらも腫れがひどい場合に鑑別が難しい場合もあります。
精巣捻転の治し方・治療方法
用手整復
まずは用手的に整復を試みます。精巣は内向きに捻れることが多いので、両手を使って左右の精巣を外向きに回転させると捻れが解除できることがあります。
用手整復が難しい場合は、後述する精巣固定術を行います。
また、用手整復が成功しても精巣捻転は再発の可能性が高く、後日改めて精巣固定術を行なうことが多いです。
精巣固定術
陰嚢を切開して、内部の精巣の捻れを解除します。捻れを解除した後に、精巣の色調を見て温存できるかを判断します。温存できるどうかを判断する際に、術中に超音波検査で精巣の血流を確認することもあります。温存できると判断したら、精巣を陰嚢と何カ所か糸で固定して再度捻転が起きないようにします。精巣捻転を起こして12時間以上経過している場合は、捻れを解除しても精巣は壊死していることが多く、その場合は精巣を摘除します。
反対側の精巣も捻転を起こすことがあるため、同時に反対側の精巣固定術も行なうことが多いです。
精巣上体炎や精巣垂捻転との鑑別が難しい場合も、試験的に手術を行なう場合があります。