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睡眠時無呼吸症候群

こんな症状で
お悩みはありませんか?

  • 日中の眠気
  • 夜間睡眠中によく目が覚める(息苦しくて目が覚めることもある)
  • 周囲の人からいびきを指摘される
  • 起床時の頭痛や倦怠感
  • 日中の倦怠感
  • 集中力の低下
  • 夜間の頻尿

眠気の評価(Epworth Sleepiness Scale: ESS)

日中の眠気チェック項目

ほとんど
うとうとしない

まれに
うとうとする
時々
うとうとする
うとうとすることが
多い
1,座って読書をしているとき 0 1 2 3
2,座ってテレビを見ているとき 0 1 2 3
3,人の大勢いる場所(会議、映画館など)で座っているとき 0 1 2 3
4,他人の運転する車に1時間以上乗っているとき 0 1 2 3
5,午後に横になって休憩しているとき 0 1 2 3
6,座って人と話しているとき 0 1 2 3
7,飲酒をせず、昼食後に座っているとき 0 1 2 3
8,運転中に渋滞などで数分間止まったとき 0 1 2 3

※うとうと:数秒~数分眠ってしまうこと

0-5点 日中の眠気は少ないです
5-10点 日中に軽度の眠気があります
11点以上 日中に強い眠気があり、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります

睡眠時無呼吸症候群
セルフチェック

質問 点数
日常的にいびきをかく 1.5
肥満傾向がある 1.5
高血圧がある 1.5
仕事中など、昼間の眠気・居眠りで困ることがある 1.5
寝付きは悪くないが、夜間の眠りが浅い、またはしばしば目が覚める(トイレで目が覚める場合も含む) 1.0
いくら寝ても朝疲れが取れていない感じ、もしくは朝しばしば頭痛がある

1.0

お酒を飲んでいない日でも、夜寝ている時に息が止まる日がある 3.0

合計3.0点以上の場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)
とは?

睡眠中に何度も呼吸が止まる病気で、ほとんどの場合でいびきを伴います。
睡眠中、10秒以上呼吸が止まる無呼吸や、呼吸が弱くなる低呼吸が1時間に何回起きるかを無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index: AHI)と呼び、AHIが5以上の場合に睡眠時無呼吸症候群と診断します。
睡眠中の無呼吸やいびきで睡眠の質が低下し、日中の眠気や倦怠感による運転中の事故など、社会生活に様々な影響を与える可能性があります。
また、高血圧や糖尿病など様々な合併症のリスクにもなります。
日本では、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の患者数は潜在的なものを含めると900万人程度と言われています。
成人男性の5%前後、成人女性の2-3%程度にみられ、男性における睡眠時無呼吸症候群の頻度は女性の2-3倍ですが、年齢の上昇に伴いその差は小さくなります。
男性では若年成人から70歳代まで睡眠時無呼吸症候群の有病率は増加し、女性では閉経後に増加していきます。

睡眠時無呼吸症候群の原因・危険因子

無呼吸が起こる原因により、大きく2つに分類されます。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome: OSAS)

空気の通り道である上気道が狭くなることが原因です。最大の危険因子は肥満であり、舌や咽頭周囲の脂肪組織が増大し気道が閉塞しやすくなります。性別に関係なく、肥満の方は睡眠時無呼吸症候群の有病率が増加します。その他にも扁桃肥大、鼻中隔弯曲も原因となりえます。睡眠時無呼吸症候群の患者さんの9割程度が閉塞性です。

中枢性睡眠時無呼吸症候群(Central Sleep Apnea Syndrome: CSAS)

脳の呼吸中枢の異常により起こります。心不全や腎不全などが背景にあることが多いです。

睡眠時無呼吸症候群の合併症

高血圧、脳卒中、心筋梗塞のリスクが3-4倍程度高くなります。糖尿病や、泌尿器科領域では夜間頻尿も問題となってきます。
これらの合併の具体的な原因は解明されていないものもありますが、「間欠的な低酸素血症」と「睡眠の分断による交感神経の亢進」の2つが関与しているといわれています。

睡眠時無呼吸症候群の検査

簡易検査
(携帯用睡眠時無呼吸検査)

問診などで睡眠時無呼吸症候群が疑われる際に行います。自宅で簡単に睡眠時の呼吸障害の程度を確認することができます。

ポリソムノグラフィー(Polysomnography: PSG)

簡易検査で、より精密な検査が必要と判断した場合に行います。睡眠時の呼吸障害に加え、睡眠の質、脳波などの測定も行います。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

持続陽圧呼吸 (Continuous Positive Airway Pressure: CPAP)療法

日中の眠気などの臨床症状が強い場合、及び中~重症例で第一選択になります。機械からホース、マスクを介して空気を気道に送り、常に圧力をかけて気道が塞がらないようにします。

口腔内装置(Oral Appliance: OA)療法

CPAP治療の適応とならない軽~中等症の症例、あるいはCPAPが使用出来ない場合に適応となります。寝ている間にあごが下がって気道が塞がらないように、患者さんの口に合うマウスピースを作って就寝時に装着する治療法です。

手術療法

扁桃肥大などが原因で気道が塞がっている患者さんでは、手術による気道の開存を行うこともあります。

その他

肥満を伴う患者さんに対しては減量指導、横向き(側臥位)で眠ることにより無呼吸が軽減することもあります。また、アルコールや睡眠薬は喉の筋肉を緩める作用があり、無呼吸を起こしやすくなります。アルコールを多飲される方は減酒、睡眠薬を飲まれている方は休薬も選択肢となります。

睡眠時無呼吸症候群の予後

睡眠時無呼吸症候群の重症化は、日中の強い眠気だけではなく生存率の悪化に繋がります。重症の睡眠時無呼吸症候群を治療せずに8年放置すると、先に述べた様々な合併症のリスクが増加し、生存率が63%にまで低下すると言われています。CPAP療法など適切な治療をおこなうことで予後は改善するので、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は病院を受診するのが望ましいです。

当院における
睡眠時無呼吸症候群の診療

当院における睡眠時無呼吸症候群の診療これまでに述べましたように、睡眠時無呼吸症候群は日中の過度な眠気を引き起こし、高血圧や脳血管疾患、糖尿病などの合併症のリスクが高まりますが、夜間頻尿の原因にもなり得ます。

睡眠時無呼吸症候群が夜間頻尿を起こす原因として

  1. 夜間に中途覚醒することで膀胱内の圧が上昇し、膀胱の容量が低下する
  2. 睡眠時の無呼吸により胸腔内の圧が低下し、静脈灌流が増加するため心臓に戻ってくる血流が増加し、心臓から利尿ホルモンが放出されて夜間の尿量が増える(夜間多尿)

などが考えられます。

睡眠時無呼吸症候群が夜間頻尿(多尿)の原因となっている場合、睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことで夜間頻尿(多尿)の改善も期待出来ます。
そのため、当院では夜間頻尿を主訴として来院された患者さんで、睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合、下記のような流れで検査・治療をおこなっております。もちろん、睡眠時のいびきや日中の過度な眠気など、通常の睡眠時無呼吸症候群を疑う症状がある方の診察も可能です。

診療の流れ

治療の流れ

1問診

日中の過度な眠気、起床時の頭痛・疲労感、いびきやあえぎ呼吸、夜間頻尿など、睡眠時無呼吸症候群が疑われる症状の有無を確認します。その他、睡眠時無呼吸症候群のリスクとなる肥満、高血圧や糖尿病など合併症の確認もおこないます。

2検査

腹部超音波検査

夜間頻尿が主訴の場合は、前立腺肥大症や過活動膀胱など、頻尿をきたす疾患の有無を確認します

簡易検査
(携帯用睡眠時無呼吸検査)

簡易検査問診などから睡眠時無呼吸症候群が疑われる際に行います。当院ではフィリップス社のウォッチパット300を採用しており、鼻カニューレを使用せずに末梢の血流量を測定して無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index: AHI)を算出できます。自宅で簡単に行える検査で、検査希望がある患者さんに機器を配送し、検査を終了したら返送していただきデータの解析をおこないます。

ポリソムノグラフィー(Polysomnography: PSG)

簡易検査でより精密な検査が必要と判断した場合に行います。睡眠時の呼吸障害に加え、睡眠の質、脳波などの測定も行います。基本的に入院が必要となり、当院ではポリソムノグラフィーが必要と判断した患者さんは、入院での検査が可能な施設にご紹介します。

3治療

持続陽圧呼吸 (Continuous Positive Airway Pressure: CPAP)療法

CPAP療法
CPAP療法

日中の眠気などの臨床症状が強い場合、及び中~重症例で第一選択になります。機械からホース、マスクを介して空気を気道に送り、常に圧力をかけて気道が塞がらないようにします。患者さんに応じて、適切な機器やマスクの選定などもおこないます。CPAP療法が適応となった患者さんは、毎月1回受診していただき、機器の使用具合や無呼吸の程度の改善などを確認していきます。

口腔内装置(Oral Appliance: OA)療法

CPAP治療の適応とならない軽~中等症の症例、あるいはCPAPが使用出来ない場合に適応となります。寝ている間にあごが下がって気道が塞がらないように、患者さんの口に合うマウスピースを作って就寝時に装着する治療法です。マウスピース作成にあたり、歯科医院へご紹介します。

その他

肥満を伴う患者さんに対しては減量指導、横向き(側臥位)で眠ることにより無呼吸が軽減することもあります。当院副院長は日本医師会認定健康スポーツ医を取得しており、専門的な食事・運動指導が可能です。また、アルコールや睡眠薬は喉の筋肉を緩める作用があり、無呼吸を起こしやすくなります。アルコールを多飲される方は減酒、睡眠薬を飲まれている方は休薬も選択肢となります。