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頻尿・尿漏れ(尿失禁)

もしかして頻尿?セルフチェック

頻尿に悩む方は少なくありません。
朝起きてから就寝までの排尿回数が1日に8回以上の場合を頻尿と言います。
日常生活に支障を来したり、病気が隠れていることがあります。
次のような症状があり困っている方は、泌尿器科へご相談ください。

もしかして頻尿?セルフチェック
  • 朝起きてから就寝までに8回以上おしっこに行く
  • 急におしっこに行きたくなり、我慢できない
  • おしっこを我慢できず漏らしてしまうことがある
  • 残尿感がある
  • おしっこを我慢すると下腹部が痛む
  • 1回のおしっこの量は少ないが、頻回にトイレに行きたくなる
  • くしゃみをしたときに尿が漏れる
  • 夜間入眠中に1回以上トイレに起きることがある(夜間頻尿)
  • おしっこをする時に、いきまないとおしっこが出ない

頻尿の原因は?

頻尿の原因には様々あります。大きくは、過活動膀胱、残尿(排尿後に膀胱に尿が残っていること)、多尿(尿量が多いこと)、尿路感染症や炎症性疾患、尿路の腫瘍や結石、心因性、その他に分類されます。

過活動膀胱

頻尿の原因急に起こる我慢出来ないような尿意(尿意切迫感)を感じる病気で、膀胱に十分に尿が溜まっていないのにトイレに行きたくなります。
頻尿や夜間頻尿、急に尿意を感じてトイレに行くまでに尿が漏れたり、漏れそうになったりする切迫性尿失禁を伴うこともあります。
40歳以上の男女の1割以上が罹患しており、特に女性には、尿漏れを伴う過活動膀胱が多いと言われています。
原因としては、脳梗塞やパーキンソン病などの脳や脊髄の神経疾患、加齢、男性の場合は前立腺肥大症に合併、原因不明のものまで多岐にわたります。
過活動膀胱の治療方法に関しては、下記の「過活動膀胱の治療」の項で詳しく説明しています。

残尿量の増加

残尿とは、排尿後に膀胱に尿が残っていることで、50ml以上の尿が残っていることを残尿と定義することが多いです。
膀胱の中に残尿があると、膀胱内で尿を貯留出来る容量が少なくなります。
その結果、1回の排尿量が減少し頻尿になります。原因は大きく分けて2つあります。

前立腺肥大症

前立腺肥大症による尿の排出障害が進行することで残尿が発生します。

神経因性膀胱

脳や脊髄の疾患、腰椎椎間板ヘルニア、糖尿病、子宮がん・大腸がんなど骨盤内の手術などにより、膀胱を収縮させる神経が障害され、膀胱がうまく収縮できなくなります。その結果、尿の排出障害が起こることで残尿が発生します。

多尿

1日の尿量が著しく多い状態です。1日の尿量が40ml/kg体重以上を多尿と定義します。
糖尿病になると、喉の渇きが出て水分を多く摂取するので結果として多尿になります。その他、水分の多量摂取や、利尿剤などの薬剤が原因となることもあります。

尿路感染症、炎症性疾患

膀胱炎など尿路の感染症が起きると、膀胱の知覚神経が刺激されて頻尿になります。
また、間質性膀胱炎は膀胱の間質に原因不明の炎症がみられる膀胱炎で、長期間続く頻尿症状があります。
これらは膀胱の刺激症状で、「膀胱は痛みを尿意で表す」というイメージを持っていただくと良いかもしれません。

尿路の腫瘍、結石

膀胱がんや膀胱結石の主な症状は血尿ですが、がんや結石による膀胱の刺激症状で頻尿がみられることがあります。

心因性頻尿

尿路に明らかな異常はなく、また多尿などの尿量も問題がないにも関わらず、トイレのことが気になって何回もトイレに行ってしまう状態です。トイレのない環境で症状が強くなる、集中する物事がある時には症状が和らぐ、尿失禁は伴わない、夜間の頻尿はあまりない、などの症状があります。
治療法として、膀胱機能訓練、不安感の強い方への抗不安薬投与、場合によっては過活動膀胱治療薬の投与を行うこともあります。

その他

カフェインやアルコール、またカリウムを多く含む食材を摂取すると、利尿作用により頻尿になることがあります。また、冬場など寒い時期やお腹を冷やしたりすると、寒冷刺激により膀胱知覚神経が刺激されて頻尿になることがあります。

頻尿の検査

問診

まず問診にて、既往歴や症状をお聞きします。

排尿日誌

上記のように、頻尿の原因は多彩であり、排尿パターンを把握することが重要になります。
排尿日誌をお渡しして、排尿に関する記録をつけてもらいます。
排尿日誌では、トイレに行った時間と排尿量、水分を摂取した時間と摂取量などを3-7日程度記載していただきます。

尿検査

尿中の赤血球や白血球の有無を調べることができます。また尿テステープでは尿糖の有無の確認が、糖尿病の診断に役立ちます。

尿培養検査

尿検査で白血球が認められ、尿路感染が疑われた際は原因菌を検索します。

超音波検査

超音波検査前立腺肥大症の有無、膀胱内の残尿量、膀胱結石や膀胱がんの確認などを行なうことができます。

頻尿の治し方・治療

頻尿の原因を正しく把握し、原因となる疾患がある場合はその疾患に対する治療を行なうことが大切になります。
詳しい治療法に関しては、各々の疾患のページをご参照ください。

過活動膀胱の治療

過活動膀胱の治療方法には、主に行動療法と薬物療法があります。

行動療法

行動療法とは、生活習慣の改善や、ある種の訓練を行うことです。短期間で著しい効果を得ることは難しく、ある程度の期間継続することが必要となります。
しかしながら、身体への侵襲や、薬物療法のような副作用の心配がほとんどなく、他の治療との併用も可能であるというメリットがあります。

生活指導

過活動膀胱は生活習慣と関係があると言われています。肥満、運動不足、喫煙、飲水やカフェインの摂取過多、便秘などの生活習慣を改善することは、過活動膀胱の治療に有効であるといわれています。
特に、食事・運動療法での体重減少は効果的です。

膀胱訓練

膀胱訓練とは、尿意を感じてもすぐにトイレに行かずに、少しずつ排尿の間隔を延ばしていく方法です。初めは5分程度我慢し、我慢できるようになれば5~10分ずつ延ばしていきます。これを数ヶ月かけて、最終的に排尿間隔が2〜3時間になるように訓練をします。

骨盤底筋訓練(体操)

骨盤底筋訓練骨盤底筋訓練は、主に腹圧性尿失禁の治療に行なわれる治療法ですが、過活動膀胱の治療にも有効です。
腹筋に力を入れずに肛門を締めるようにする方法です。やり方は色々ありますが一つの方法として、仰向けになり、両膝を軽く立て脚を肩幅に広げ、肛門をお腹側に引き上げるように締めます。そのまま5秒間締め、ゆっくり緩めるという運動を1セットとし、1回10セットを目安に1日数セット行ないます。短期間で効果が出るものではなく、最低3ヶ月は継続する必要があります。

薬物療法

薬物療法尿が溜まる際に膀胱の拡張を促進したり、膀胱の収縮を抑制するような薬剤を使用します。作用機序の違うもので、β3受容体作動薬や抗コリン薬があります。β3受容体作動薬或いは抗コリン薬を単剤で用いたり、治療効果が不十分な際は両者を併用して治療を行います。
逆に、薬の効果が強くなりすぎると、尿が出なくなる尿閉のリスクがあります。
特に男性で前立腺肥大症の方では、背景に排尿困難があるため尿閉のリスクが高くなります。
こういった排尿状況に応じた細かい投薬調整の必要性があるため、出来れば泌尿器科で投薬を受けることが望ましいです。

その他の治療

低周波干渉尿失禁治療

低周波干渉尿失禁治療器(ウロマスター)低周波干渉尿失禁治療器(ウロマスター)は、干渉低周波電流を用いて電極を下腹部と下臀部に貼り付けることにより、膀胱排尿筋や骨盤底筋を刺激するものです。切迫性尿失禁にも有効性が認められています。膀胱訓練や骨盤底筋訓練と同様、ある程度の期間継続していただく必要はありますが、約20分横になっているだけで治療が終わるため、ご自身でしていただく努力は少なくて済みます。ウロマスターは当院でも施行可能です。

ボツリヌス毒素の膀胱壁注入治療

上記の治療で改善が得られない、難治性過活動膀胱に対して行われる治療です。
尿道から内視鏡を挿入し、膀胱壁にボツリヌス毒素を注入する治療で、ボツリヌス毒素が膀胱の収縮を抑制することで症状を改善します。