背中・腰が痛い…
背中や腰の痛みの原因は、筋肉や神経など整形外科的な疾患によるもの、腹部の臓器に何らかの異常がある場合など様々です。
痛みが長期間継続する場合や症状の増悪がある場合には、一度医療機関を受診しましょう。
背中や腰が痛む原因は「腎臓」の病気?
背中や腰が痛む方の中で、原因が腎臓にある場合があります。
腎臓は後腹膜臓器と呼ばれ、身体の背中側に左右両側に存在し、腰の高さ付近に位置します。
腎臓は腎被膜という膜に覆われており、腎被膜には神経があります。腎臓が何らかの原因で腫れると、腎被膜が急激に伸展し痛みが生じます。腎臓は背中や腰近くに位置するため、腎臓が腫れた際は背中や腰に痛みを生じます。
「背中・腰の痛み」を起こす腎臓の病気
尿管結石
尿管結石が尿管に嵌頓すると、腎臓で作られた尿が上手く流れなくなり、停滞した尿で腎臓が拡張する水腎症を呈します。左右どちらかの背中、わき腹や腰などに激しい痛みを生じます。
また腎盂腎炎を併発した際には発熱を認めます。
急性腎盂腎炎
膀胱炎などの尿路感染症で十分な治療が行なわれないでいると、細菌が尿の流れに逆行して腎盂まで到達します。腎盂で細菌が繁殖すると、急性腎盂腎炎を起こすことがあります。炎症により腎実質が腫大し、被膜が伸展されることで痛みを生じます。
腎盂がん・尿管がん
腎臓の実質で作られた尿が流れてくる腎盂と、その尿を膀胱に運ぶ尿管に発生するがんです。膀胱がんと同様の性質を持っており、初発症状は突然の血尿であることが多いです。がんの進行などにより尿管が閉塞すると、閉塞部位より上流に尿が停滞することで水腎症を呈し、背中や腰に痛みを生じます。
腎梗塞
腎臓の太い動脈がなんらかの原因で詰まってしまう病気です。腎動脈が詰まると、その先の組織が循環障害で壊死を起こします。壊死した組織から炎症性物質が発生し、これによる腎周囲の炎症で背中や腰に痛みを生じます。
腎盂尿管移行部狭窄症
生まれつき、尿がたまる場所である腎盂と、その下流にある尿管との繋ぎ目である腎盂尿管移行部が狭い病気です。尿の流れが少し悪い程度では、多少水腎症を呈するものの症状がないことが多いです。
尿管結石の嵌頓など、何らかの拍子に急激に水腎症が悪化した際に腰や背中の痛みが出ることがあります。
腎嚢胞
腎嚢胞は、腎臓にできる水の溜まった袋で通常は無症状です。
サイズが5cm以上と大きくなる場合があり、その場合は嚢胞による圧迫症状で腰や背中に鈍い痛みが出ることがあります。
「背中・腰の痛み」を起こす骨・神経などの病気
このような症状がある場合は整形外科の受診をお勧めします。
神経痛
神経痛の中でも、背中や腰周辺の痛みを生じるものに肋間神経痛があります。肋間神経痛では、肋間神経がなんらかの影響で刺激を受けて痛みが生じます。また、痛みだけでなく、胸や胃の気持ち悪さ、動悸、息苦しさを訴える方もいます。
筋肉痛
デスクワークを長時間行っていると、背中の筋肉や肩や肩甲骨の関節が固まり、血流が悪くなることで、背中の痛みや気持ち悪さが生じることがあります。
椎間板ヘルニア
悪い姿勢での動作や作業によって、発症することがあります。
症状は、下肢の痛みやしびれ、力が入りにくい、動きにくいなどがあります。
脊柱管狭窄症
骨や椎間板が変形することで、神経が圧迫され症状が出現します。
長期間歩くことが難しくなり、下肢の痛みやしびれが生じます。
泌尿器科で行う検査方法
血液検査
腎機能や炎症の程度などを調べます。
尿検査
尿中の白血球や赤血球の有無などを確認します。
超音波検査
腎臓の結石、腫瘍、嚢胞の有無、腎臓の腫れや水腎症などを確認します。
CT検査
腎臓の結石、腫瘍、嚢胞の有無、腎臓の腫れや水腎症、尿管結石を確認します。また、腎梗塞が疑われる際は造影CT検査も行ないます。